金融・機関系詐欺の事例一覧(12件)
「医療費を返します」——ATM誘導型還付金詐欺
2025年(令和7年)確定値|認知件数 3,179件/被害額 約61.9億円(2025年確定値・還付金詐欺全体)
出典:国民生活センター相談事例・警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」
市区町村や社会保険事務所を名乗り「医療費の過払い還付がある」と電話し、ATMに誘導して被害者自身に振込操作をさせる手口です。
「きょうまでに手続きしないと還付金が消えます」と急かし、携帯電話で通話を続けながらATMへ誘導します。「振込」ボタンを押させることで詐欺師の口座に送金させます。「ATMでお金を受け取る操作」は存在しないにもかかわらず、電話口での誘導を信じてしまう被害者が後を絶ちません。60代以上の女性の被害が目立ちます。
だまされないための教訓
ATMでお金を「受け取る」操作は存在しません。電話で誘導されながらATM操作をしているなら、即座に電話を切って銀行員に相談してください。
著名人の顔・動画を悪用した偽投資広告——AIで本物そっくりに
2024〜2025年|1人あたり数百万〜数千万円の被害例も
出典:報道各社・前澤友作氏・堀江貴文氏ら当事者のSNS注意喚起
前澤友作氏・堀江貴文氏・孫正義氏などの著名人の顔・声・動画をAIで加工した偽投資広告がSNS・YouTube・ニュースアプリに大量に出現し、社会問題となりました。2025年も手口の巧妙化が続いています。
生成AIを使ってわずか数秒の音声サンプルから本人の声を複製したり、本人の動画に投資を勧める台詞を合成した偽動画が拡散されました。広告から誘導された偽の投資サイト・LINEグループで出資させ、出金できなくなる手口です。当事者の著名人が自らSNSで「私は関与していません」と注意喚起するほど被害が深刻化しました。FacebookやInstagramなどMeta系プラットフォームへの偽広告掲載が特に多く報告されています。
だまされないための教訓
有名人が登場する投資広告でも、その人の公式SNS・公式サイトで本人が実際に推薦しているか必ず確認してください。「著名人推薦の投資」は詐欺師が信頼性を演出するための最頻出手口です。
「裁判になります」——弁護士を名乗りプリペイドカード要求
2024年(令和6年)|1件あたり数万〜100万円以上の被害
出典:国民生活センター「架空請求に関する相談」
弁護士事務所・消費者センターを名乗り「サービス未払いで裁判になる」と脅し、解決金としてコンビニのプリペイドカード番号を要求する手口です。
「あなたが利用した有料動画サービスの料金が未払いです。本日中に連絡がなければ裁判所への申し立てを行います」というSMSや電話が届きます。慌てて連絡するとAmazonギフト券・iTunesカード・電子マネーの購入を要求されます。プリペイドカードは追跡が困難なため詐欺師が好んで使います。身に覚えのないサービス名を使うのも特徴です。
だまされないための教訓
身に覚えのない請求には一切応じなくて構いません。公的機関・弁護士がプリペイドカードでの支払いを求めることは絶対にありません。
「国税局」から電話「未納税金を今日中に支払わないと差し押さえ」
2025年(令和7年)確定値|認知件数 5,706件/被害額 約131.7億円(2025年確定値・架空料金請求詐欺全体)
出典:国税庁・国民生活センター注意喚起・警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」
国税局・税務署を名乗り「確定申告に不備があり未納税金がある。本日中に支払わなければ財産を差し押さえる」と脅し、コンビニのプリペイドカード購入を要求する詐欺です。
「国税局徴収部」「税務署の○○です」などと名乗り、「85万円の未納が確認されています」「今日の17時までに支払わなければ給与と銀行口座を差し押さえます」と具体的な金額・期限を告げて焦らせます。「コンビニでプリペイドカードを購入して番号を教えれば支払い処理できる」という独自の方法を指示するのが特徴です。税務署が電子マネーでの支払いを指示することは絶対にありません。
だまされないための教訓
税務署・国税局が電話でプリペイドカードや電子マネーでの納税を求めることは絶対にありません。本物の督促は必ず書面(郵便)で届きます。電話番号は国税庁公式サイトで確認して掛け直してください。
電力会社・ガス会社なりすまし「料金未払いで今日中に停電」詐欺
2024年(令和6年)|1件あたり数万〜数十万円の被害
出典:東京電力・関西電力・東京ガスなど各社の注意喚起
電力・ガス会社を名乗り「料金未払いで本日中に電気・ガスが止まります。今すぐコンビニで電子マネーを購入して支払ってください」と焦らせる詐欺が増加しています。
「○○電力です。お客様の口座引き落としが2ヶ月分未払いになっています。本日17時に停電になります」という電話がかかってきます。「コンビニでSuicaなどの電子マネーを購入して番号を教えていただければ即座に解除できます」と指示されます。独居高齢者や日中一人でいる方が標的になりやすく、「電気が止まると思って怖くなった」という被害者の声が多数寄せられています。
だまされないための教訓
電力・ガス会社が電話でコンビニの電子マネー購入を要求することは絶対にありません。請求に不安があれば、自分で公式サイトや請求書に記載の番号に確認してください。
健康保険組合・年金機構なりすまし「過払い返還・口座確認」詐欺
2024年(令和6年)|1件あたり数十万〜100万円超の被害
出典:日本年金機構・全国健康保険協会(協会けんぽ)注意喚起
健康保険組合・日本年金機構を名乗り「保険料の過払いがあり返還手続きが必要」「年金受給の口座確認が必要」などとして口座情報やカード情報を騙し取る手口です。
「健康保険組合の○○です。医療費の払い戻しが発生しているので口座番号を教えてください」「年金の受取口座が変更されており、確認のため現在のキャッシュカードを確認させてください」という電話がかかってきます。個人情報(生年月日・住所・口座番号)を聞き出したあと「後で確認の方が伺います」と言って自宅に共犯者を送り込むパターンもあります。
だまされないための教訓
年金機構・健康保険組合が電話で口座番号や暗証番号を聞くことはありません。不審な電話は一度切り、自分で公式の問い合わせ番号に確認してください。
暗号資産(仮想通貨)投資詐欺——「ビットコインで確実に2倍になる」
2023〜2025年|1件あたり数十万〜数千万円の被害
出典:国民生活センター・警察庁・金融庁注意喚起
SNSや電話で「特別な暗号資産投資の方法を教えます」と誘い、専用の取引アプリや偽の取引所で出資させ、出金できなくなる詐欺が急増しています。
「ビットコインを使った特別な裁定取引で毎月30%の利回りが出る」「損したら全額保証する」という勧誘から始まります。専用の投資アプリ(実はサーバーを詐欺師が管理)に入金させ、最初は利益が出ているように見せかけます。出金しようとすると「税金の前払いが必要」「追加入金で出金できる」と追加入金を促し、最終的に連絡が取れなくなります。金融庁に無登録の業者によるものがほとんどです。
だまされないための教訓
金融庁に登録していない業者への投資は違法であり、詐欺リスクが極めて高いです。「確実に儲かる」「損失保証」という暗号資産投資は全て疑ってください。金融庁の「登録業者一覧」で必ず確認を。
競馬・競艇の「必勝情報」商法——数十万円払っても情報は偽物
2024〜2025年|1件あたり数万〜数百万円の被害
出典:国民生活センター「公営ギャンブル情報商材」相談集計
SNSや迷惑メールで「八百長情報がある」「内部情報で確実に当たる」と宣伝し、高額な予想情報を売りつける詐欺。実際にはでたらめな情報です。
「競馬関係者から独占情報が手に入った」「JRAの内部告発者から確実な情報を入手した」と誘います。最初は数千円の「お試し情報」が当たったように見せかけ(実際は確率通りの当たり)、「本命情報は50万円」と高額情報を購入させます。「返金保証あり」と謳っていても、連絡がつかなくなるか「規約に違反した」として返金を拒否します。内部情報での八百長は法律違反であり、そもそも存在しません。
だまされないための教訓
公営ギャンブルの「確実な内部情報」は存在しません。情報商材の購入前に国民生活センター(188)に相談してください。「当たったら返金」という約束は守られません。
「節税になる不動産投資」——サブリース詐欺・原野商法の復活
2023〜2025年|1件あたり数百万〜数千万円の被害
出典:国民生活センター・国土交通省・金融庁注意喚起
「節税対策に最適な投資用マンション」「値上がり確実な土地がある」と勧誘し、過大な収益を約束して不動産を購入させる詐欺的商法が2024年も多発しています。
サラリーマン向けに「給与所得の節税になる投資用ワンルームマンション」を販売し、サブリース(家賃保証)付きで勧誘します。実際には家賃保証は10年後に大幅減額され、空室リスクはオーナー負担。また1960〜80年代に横行した「原野商法」の被害者に「買取業者が見つかった」と連絡して別の原野を購入させる「二次被害」も再発しています。
だまされないための教訓
投資用不動産の購入前に、勧誘してきた業者以外の宅建士や税理士に相談してください。「節税」「家賃保証」という言葉に飛びつかず、契約書を専門家に確認させることが重要です。
保険見直し詐欺——「今の保険は損。切り替えれば保障が倍に」
2024〜2025年|解約後の保障喪失・詐取金額 数十万〜数百万円
出典:国民生活センター・金融庁・生命保険協会注意喚起
「今の生命保険は無駄が多い。新しい保険に切り替えれば同じ保険料で保障が2倍になります」と勧誘し、既存保険を解約させて高手数料の保険や架空保険に切り替えさせる手口です。
保険代理店員を名乗り「無料の保険診断をします」と訪問。既存の保険証券を見せてもらい「このままでは損。切り替えれば月の保険料が半分になる」と説得します。実際には解約返戻金の安いタイミングで既存保険を解約させ、高手数料の保険に乗り換えさせるか、保険料を受け取っておきながら実際には保険会社に申し込まない架空保険詐欺があります。解約後に「やはり元の保険に戻りたい」と言っても、加入審査に通らなかったり健康状態の変化で入れなくなるケースがあります。
だまされないための教訓
既存保険の解約を勧める訪問者には慎重に。必ず保険会社の公式窓口か独立した保険相談窓口で内容を確認してから決断してください。「今すぐ決めないと損」は詐欺的商法の典型です。
海外FX・高レバレッジ取引詐欺——「無登録業者で月利50%」
2024〜2025年|1件あたり数十万〜数千万円の被害
出典:金融庁「無登録業者への投資勧誘に関する注意」・国民生活センター
LINEやSNSで「海外FXなら日本の規制がなく高レバレッジで短期間に大きく稼げる」と勧誘し、金融庁に無登録の業者のプラットフォームに入金させて出金できなくする詐欺です。
「国内FXは規制が厳しくて稼ぎにくい。海外業者なら1000倍のレバレッジが使えて月利50%も可能」という勧誘から始まります。専用のアプリやサイトで取引させ、最初は利益が出ているように見せかけます。「出金するには追加書類が必要」「税金を先払いしてください」と言って出金を引き延ばし、最終的に業者が消えます。金融庁の許可なく日本居住者に金融サービスを提供することは違法です。
だまされないための教訓
金融庁に登録していない業者には絶対に入金しないでください。「海外だから規制なし」というのは詐欺の常套句で、日本在住者向けのサービスは国内登録が必要です。金融庁のホームページで登録業者を確認できます。
給付金・還付金詐欺——「ATMで手続き」で逆に送金させる
2024〜2025年|還付金詐欺 被害多数(特殊詐欺の主要類型)
出典:警察庁特殊詐欺統計・各自治体の注意喚起
市役所や年金事務所を名乗り「給付金・還付金が受け取れる」と電話し、ATMへ誘導して操作させ、受け取るどころか自分のお金を振り込ませる手口が続いています。
「物価高対策の給付金」「医療費・保険料の還付金」などの名目で電話をかけ、「本日が手続き期限」と急かします。「ATMで受け取れる」と言って携帯電話で通話をつないだままATMへ誘導し、「振込」操作をさせて詐欺師の口座に送金させます。ATMでお金を"受け取る"操作は存在せず、行わされているのは"振込(送金)"です。被害者は60〜80代が中心です。
だまされないための教訓
給付金・還付金の受け取りにATM操作は絶対に不要です。役所がATMへ誘導することはありません。心当たりのない給付金は役所の代表番号に自分で確認を。